Developers Summit 2017
全体を通して
毎年行っているデブサミに今年もなんとか(業務に無理を言って)行ってきました。
全体的にエモい話が増えた印象ではあるけど、それでも気持ちを新たにすることのできる貴重な刺激の場であることには変わりがない。
今年の特色の1つに、技術系同人誌を販売するというのがあって、従来はコミュニティのブースであまり盛り上がっていないところも多かったけど、普段は見れないものが見れてよかったと思う。
登壇者の目玉を選ぶのは難しいのだけど、つい先日炎上(本人とは関係ないところだけど)していたちょまどこと千代田まどかさんだろうか。
初日は、A会場がYAHOO!のTech Conference扱いになっていて、企業色のないデブサミに似つかわしくないと思っていたけど、セッションを聞いてみるとかなり骨太な感じで、先入観を反省しました。
あとは、自分が効いたセッションをざっと紹介。
講演資料が追加でアップされたのに気づいたら、なるべく更新します。
Day 1
Web フロントエンドの変遷とこれから(仮)
最近気になっているフロントエンド話。歴史から振り返っていてわかりやすかった。
変遷が早いけど、コンテキストを考えると仕方ないので、変化に適用して頑張ろう、ということ。
Yahoo!ブラウザーアプリのプロダクトマネージャーが考えていること
Yahoo!ブラウザという微妙な(失礼)立ち位置のブラウザアプリの戦略を、プロダクトマネージャの視点で語る。
とても理論的で、明確で、すごく勉強になった。会社で、同じようなミッションを与えられている人に聞かせて、心改めて欲しい。
パネルディスカッション「エンジニアが創るプロダクトの未来 ~エンジニアからプロダクトマネージャーへ~」
www.slideshare.net
プロダクトマネージャとは今年のバズワードなのだろうか。
パネルディスカッション形式で、プロダクトマネージャとは何か、どうしてなったのか、何が重要なのか、について語っていた。
海外ではもともとあるポジションが、ようやく日本に入ってきたということだろうけど、同じような仕事をしていた(すべきだった)人はいるはずで、名前をつけ直したということになるかな。
市場で勝ち続けるための品質とテストの技術
テスト自動化を推進するために、何が必要か、という話。色々な誤解や不安を、落とし穴を交えながら丁寧に説明してた。
最終的には、自動化のコーチングがなくても自走できるチームになっていくべきで、それを後押ししていくという、素晴らしい流れ。夢のよう。
新しいビルドターゲットとしての Webブラウザ。もしくは C/C++ で書く Web フロントエンドプログラム
今回一番技術っぽい話。主にWebAssembly:WASMの紹介。
C/C++で実装したプログラムをWASMに変換して実行するやり方を紹介。難読化はされないなど、夢のような技術でないことを説明しつつ、これによってまたWebの世界観が広がる可能性がある気がした。
位置づけ的には、RubyやPythonにおけるC拡張のような、ピンポイントでのC/C++実装というのが現実的なのではないか。
事業成長にコミットするエンジニア組織への道のり
リクルートの組織が、数名のエンジニアだった時から、急激に拡大していく中で、エンジニアの文化を試行錯誤した話。
基本的には、俺たちやってやった!成功した!どやっ!って感じの内容ではある。
しかし、その取り組み1つ1つが具体的で、参考になるので、全体通して面白く聞けた。
Day 2
自動化はどこに向かうのか~まだ開発・運用の自動化で消耗しているの?
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自動化はなぜ消耗するのか?というテーマでの割と抽象的な話。
私のように導入に苦労している人が聞いていると、すごく勇気をもらうというか、考えるヒントや道しるべになるような話が多かった。
反面、どうしても抽象的であったり、言葉としては当たり前(手段が目的化するな、とか)に聞こえるので、実感を持っていない人が聞くと、ちょっと物足りなかったのではないか。
サーバーレスアーキテクチャにしてみた - エンタープライズチャットアプリでの挑戦
チワワというチャットアプリを作る過程で、Firebaseを活用した事例を紹介。
mBaaSは試したことがなかったけど、データの同期や認証など、とても便利そう。
ママセキュリティエンジニア奮闘記 ~ 子供と一緒にラズパイで遊んでみた♪
文字通り、エンジニアとしての欲求と、子供の教育という観点から、ラズパイを子供と一緒に遊んでみた経験談。
自分も子育て世代に、なかなか勉強する時間が取れなかったりするのは共感できるし、子供にエンジニアリングをやらせたいというのもよくわかる。
ただ、仕方ない部分も多いとは思うけど、後半尻すぼみというか、消化不良感があった。
リーンスタートアップとスマートなエンジニアリングの葛藤
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リーンスタートアップという手法と、アジャイル(主にスクラム)開発という手法の両立を考えたセッション。
どちらも導入するに至っていない職場の人間としては、2つともやっているだけで眩しいくらいだけど、図を見るとちょっと複雑(オーバースペック)のように感じてしまった。
本質的には、ビジネス的観点でのみ考えられたリーンという手法と、開発の観点でのみ考えられたアジャイルでは、ビジネス・開発両面から見た場合には、どちらも片手落ちになってしまうのではないかと感じた。
もしそれが正しいのであれば、どうしてもリーンとアジャイルを融合したようなプロセスというのは、ちょっと無理があるように思えてしまった。
C#で簡単にモバイルアプリを作ろう!
ちょまど人気(とXamarin人気)で会場に多数の立ち見が出るほどだった。
さすがのMSエバンジェリスト、なんだかんだ言いながら会場をちょまどワールドで包みこみ、時に爆笑、時にハラハラさせながら全力で駆け抜けた感じ。
C#やXamarinの紹介ということもあり、スライドだけ見るとほとんど内容がない(失礼!)のだけど、それでもあれだけ観衆を惹きつけるのだから、これはもうエンターテイメントと言っても良いだろう。
Xamarinはもともと興味があって一度は試してみたいと思っていたし、.NETcoreには期待しているし、C#も言語としてすごいのは理解しているし、Visual Studio 2017には是非期待したい。
コミニュティとエンジニアの生き方
www.slideshare.net
コミュニティを運営している2名の方が体験談を交えながら、コミュニティを運営するということの大切さとメリットを熱く語った。
運営に関わると、エンジニアとしていいことがたくさんあるよ!というのは知っているつもりでも、それを再確認した感じ。
それ以上に、好きな技術を使うだけで、使い尽くしたら捨てるだけで、それでいいのか?という問いには本当にドキッとさせられた。
コミュニティの運営だけじゃない思うけど、好きな技術にはきちんと貢献しなければと、襟を正さなければと改めて思った。
『もしもスクラムマスターがテストエンジニアだったら』(もしテス)
会社の説明、新しく開発したツールと、その開発や意図の説明に多く時間を使って、あまり面白い(一般的に参考になる)話がなかったように感じた。
品質保証を専門に扱う会社というのは、重要だし、注目されるべき企業だと思うけど、セッションとしては残念だった。